海外のリモートワーク事情、日本は遅れているのか?

リモートワーク
The following two tabs change content below.

政府の働き方改革の推進により、脚光を浴びつつあるリモートワーク。
ネット社会の成長を背景にしたこの動きは、日本社会においてはいまだ十分に浸透しているとはいい難い状況であることは確かです。
では、諸外国ではリモートワークのはどう受け入れられているのでしょうか。
今回はそのあたりに迫手見たいと思います。

日本のリモートワーク

まずは、日本の状況を見ておきましょう。
2016年の国土交通省の調べによると、2015年時点で全労働者中17%が週8時間以上仕事場を離れて仕事を行うリモートワーカーだったそうです。
一見多く思えるかもしれませんが、前提が週8時間以上のリモートワークですからやや基準が低いのは否めません。
というのも、週8時間の会社外勤務という事であれば、週勤5日と考えて、一日に1.6時間でその条件はクリアできるのですから、本人にリモートワーカーの自覚すらないという状況も当てはまります。
ですので実際はそれよりももっと少ない数字だと考えていいかもしれません。

アメリカのリモートワーク

では次は、ある意味リモートワークの本場であるアメリカに目を向けてみましょう。

2010年の段階で19%がリモートワーカー

アメリカにおけるリモートワーカー(テレワーカー)の数を考えるときに一つ知っておくことがあります。
アメリカにおいては雇用型テレワーカーと自営型テレワーカーという二つのカテゴリーがありそれらは別のものと認識されているということです。
ではそれぞれの数ですが、2010年の調査で雇用型が1700万人、自営型が1000万人となっています。
アメリカにおける労働者の総計は2009年の段階で約1億4000万人なので、合計するとリモートワークをしている人の割合は19%ということになります。
またリモートワーカー全体の中で、少なくとも週に一度以上リモートワークをしている人が39%、ほぼ毎日リモートワークをしている人で49%と高い割合を示しています。
これにより、アメリカでのリモートワークの浸透率はかなり高いことがわかってくるはずです。
しかも調査は、2010年。
かなり早い段階で、アメリカではリモートワークが定着していたというわけですね。

企業におけるリモートワークの実情

では企業の方向から見ればどうでしょう。
2011年の調査によれば、月1回及び週1回のリモートワークを許可している実績のある企業は全体の約半数、そのうち、全労働者を対象にしているものは約30%となっています。
これが、アドホック、つまりケースバイケースでリモートワークを許可する制度がある企業ということになると、なんと全体の8割にも上っています。
これにはICT環境の発達しているアメリカの特殊な事情が大きくかかわっていると考えられます。
また、日本と違って国土が広大なアメリカにおいては、人材確保のためにリモートワークを取り入れる地政学的な意味合いもあると考えていいでしょう。

アメリカの現状

アメリカのリモートワークにおいて、現在の状況は縮小する傾向にある。という人もいます。
これは、アメリカYahoo!やIBMがリモートワークの制限を始めたことを発端とした考え方ですが、むしろこれは逆ではないかと考えています。
というのも、こういった大企業がリモートワークを制限し始めたのは、チームワークによる成果が期待できなくなったことが原因であり、つまりは「増えすぎている」ことが理由だからです。
つまり、アメリカではむしろいまだに増加傾向にあり、そろそろ大手企業によって「歯止め」をかける時期だと考えるのが普通でしょう。
ただ、この動きは、シリコンバレーにあるITベンチャー系にも広まりつつあるといわれています。
今後どうなるかはわかりませんが、やはりこれは、行き過ぎに対する歯止めと考えるのが普通ですね。

アメリカとリモートワーク

アメリカにおけるリモートワークの進化は、やはりその国家の性格上の問題も大きいだろうと思います。
もともとアメリカには、終身雇用制度はありませんでしたし、それに伴い、会社への帰属意識が緩い国であったことは言うまでもありません。
また、建国以来の国是であるフロンティアスピリットも、アメリカの個人主義の強さの象徴です。
まさにリモートワークとは、集団からの脱却を目的とした個人主義の発露なのですから、アメリカで受け入れられ発展していくのは当然ですよね。
同時に日本でアメリカほど浸透しない理由も、この辺にあるといっていいでしょう。

ヨーロッパのリモートワーク

では次にヨーロッパのリモートワーク事情を見てみましょう。

EUによって推進されてきたリモートワーク

ヨーロッパでは、主にEUによってリモートワークの推進が図られてきました。
2003年の調査結果においては、アメリカや日本よりも厳しめのリモートワークに対する基準のなかで、EU加盟国の平均として13%がリモートワーカーであるという結果が出ています。
これは2003年という2000年代初頭の数値としては異例だといっても過言ではありません。
とくにオランダの25%を筆頭に、フィンランドやデンマークでも20%を超える数値が出ており、むしろアメリカよりもリモートワークに関しては先進的であるといえるかもしれません。
また2006年にはリモートワークに関する各種の条件に対する合意がEUによってなされるなど、とにかくEUにとってリモートワークというのは特別な気見合いを持っているものとなっています。

EUがリモートワークを推進する背景

ではなぜEUはリモートワークをここまで推進するのでしょうか。
先ずその大きな一つに、EU全土に慢性的に広がっている高い失業率が考えられます。つまり働き方の自由化によって、労働者を一人でも多く創出しようというわけです。
そしてもう一つは、独立国家による共同体であるEUの事情もあるでしょう。
EUはそもそも自由な経済圏を創出し、アメリカなどの大規模経済圏と対抗するために誕生しました。しかし、国の足並みはなかなかそろわず、いまだに決め手を欠いている感があるのは周知の事実です。
そんな中、国境を越えて、労働者の平均化を行う手段の一つとしてリモートワークが位置付けられたのです。
つまり、国家の思惑によって足並みがそろわないところを、労働者の自由な意思によって融和させていこうとする目的があるというわけですね。

EUの現状と展望

2016年のブレグジットによって、EUは成立以来最大の危機に直面しています。
また移民問題や国家間格差による新たな離脱に向けての動きなど、問題は山積で、見通しが立たないことがより経済の先行きの見通しを悪くしています。
しかし、ここにリモートワークというピースをはめるとどうでしょう。
例えばブレグジットなどのEUからの離脱問題も、EU圏外からの労働者がリモートによって流入することで、そこには新しい経済の動きができるという見方もできます。
しかも、移民問題も、居住地を経済に強い国にしなくてもいいという利点があります。
いまでこそ、フランスやドイツなど経済の強い国に移民が多く流入していますが、リモートワークが定着すれば、わざわざ経済の強い国にいなくても、EU圏内のどこの国からもドイツやフランスでの仕事ができるようになるのです。
もちろんそれは小さな可能性であるといえるかもしれません。
しかし、打開策を見いだせないEUにおいて一つの光明であることは間違いないのです。

日本はどうするのか

それでは、そんな中今後日本のリモートワークはどうあるべきなのでしょうか。

アメリカやEUとは違う利点があるのか

まず考えなくてはいけないのは、リモートワークにアメリカやEUのような利点を見いだせるのかです。
というのも、ただやみくもに、アメリカやEUで盛んだから日本でもやるべきだというのでは安直にすぎますし、そうして導入された様々な制度がプラスに働かなかったことは何度もあります。
そこにはきちんとした動機付けが必要ですし、旧弊を壊すだけの理由が必要なのです。

価値観の崩壊と新しい雇用の創出

では、日本の雇用問題において、今一番問題となっていることは何でしょう。
そうそれは、間違いなく労働力の低下と、労働人口の減少です。
いまのままの人口推移を続ければ、日本の労働人口は減る一方で、これから増えていくという予測は立てにくいのが現状です。
その対策として、外国人労働者の推進などいろいろな策はとられていますが、賛否両論であるのはご存知の通り。
いくら今後AIによって労働人口は少なくても済む時代がやってくるからといって、AIにはこなせない仕事もたくさんありますし、そんな時代が今すぐやってくるわけでもありません。
実はここにリモートワークを日本で推進するメリットがあるのです。

ダブルワークやパラレルワークの下支えとして

労働力の低下、これを防ぐための方法として複業や副業が考えられています。
つまりダブルワークやパラレルワークのことですが、なぜそれが労働力の低下に役立つかといえば、これによって一人の人間が一人の労働者という時代が終わるからです。
つまり一人一役では足りない労働力を一人が何役もこなしていけば補えるという考え方です。
そうなったとき、オフィスに出勤しなくてもよいリモートワークは、かなり大きなアドバンテージをもって、その時代に役立つ労働形態となるでしょう。
自分のパーソナルスペースから複数の企業や仕事をこなす。
まさに、労働力が不足しつつある日本において、一つの策として考慮すべきものです、

単純に数や割合で見てはいけない

いかがでしたか、各国のリモートワークの事例。
確かに、こういう比較をすると単純に数値や割合でその良しあしを判断しそうになってしまいますが、それは間違っているといえます。
考慮すべきは、その国や地域におけるリモートワークが果たす役割です。
アメリカにはアメリカの理由があり、EUにはEUの必要性があってリモートワークは盛んになっているのです。
ただ真似をするだけのリモートワークなら、それは、この国にとって役に立つものとはなりません。
今後は日本独自のリモートワークが問われていく時代になるのです。

ピックアップ記事

関連記事一覧

ABOUT

海外でのリモートワークを夢見るアラサー男子です。今は本業やりつつ、リモートワークで本業を活かした副業をしながら経験を積んでいます!

Twitter でフォロー