増え続けるリモートワーカー

リモートワーク
The following two tabs change content below.

これからの働き方で必須のリモートワーク。
政府が主導する「働き方改革」の中でも、労働力の掘り起こし、ライフワークバランスの見直しの手段としてリモートワーク(テレワーク)の活用が提言されています。
平成24年(2012年)時点で、日本のリモートワーカー(テレワーカー)人口比率(就業者人口に占めるテレワーカーの割合)は、21.3%(約1,400万人)、うち、在宅型テレワーカー人口比率は14.2%(約930万人)と推計されています。(国土交通省実施「テレワーク人口実態調査」より)

「働き方改革」の実行計画では、「テレワーク導入企業数3倍(2012年度比)」「雇用型在宅型テレワーカー数10%以上」等の政府目標が掲げられています。
実際に民間企業の動きを見ると、日産自動車、日本航空(JAL)、東急リバブルなど大手企業でもリモートワークが導入され、IT系企業にとどまらないリモートワーク拡大の流れがあります。

今回は、リモートワークとそこで働くリモートワーカーにスポットを当て、リモートワークの実態を検証したいと思います。

増え続けるリモートワーカー

リモートワーカーというと、ノートPCを開いてカフェでキーボードを操作するIT系の人たちやクリエイティブワークに携わる人たちを思い浮かべる方が多いでしょう。
ところが、実際にはカフェでPCを開くノマドワーカーとは違い、雇用関係にある企業のオフィスに通勤せずに在宅で業務をこなしたり育児や介護と仕事を両立したりする在宅型テレワーカーも多いのです。

その理由は、政府が推奨する「働き方改革」でテレワーク(リモートワーク)の後押しをするなど、政策による部分もあります。
リモートワークが見直されるきっかけになったのは、2011年の東日本大震災でした。交通網を含むインフラが寸断され、通勤不可能になった従業員が多い企業では、事業の存続さえ危ぶまれる事態となったのです。
その時、脚光を浴びたのが自宅に居ながら業務を進められる「リモートワーク」という働き方でした。
ICTの発展により、会社のオフィスに出社する事無く、ふだんの業務が可能になったのです。
その働き方は、企業に雇用されながら働く場所・時間に縛られない新しいスタイルとして、リモートワーカーが認知されるようになりました。

リモートワーカーになってよかったこと

ワークライフバランスの向上を目指す、労働力の掘り起こしといった目的のあった「働き方改革」でのリモートワークですが、実際にリモートワーカーになってよかった点(メリット)を検証してみましょう。

通勤ラッシュからの解放

首都圏・大都市で働く人たちの悩みのタネ、通勤ラッシュ。
この通勤ラッシュの緩和にリモートワークは一定の効果があります。
2017年7月に政府主導で試行された「テレワーク・デイ」(リモートワークの実証実験)では、通勤ラッシュが10%も緩和された結果があります。

育児・介護と仕事の両立

イクメンという言葉が言われるようになって久しく経ちますが、高齢化社会を迎え育児だけでなく介護問題も大きな課題です。
そうした育児・介護を抱える労働者にとって仕事のために家を空ける事は避けたい事態です。
仕事と育児・介護を両立出来る働き方として「リモートワーカー」という選択肢が出来るのは朗報です。
冒頭でご紹介した日産自動車では、育児・介護を理由とするリモートワークの上限を通常業務より高い比率の50%まで認めています。(通常はリモートワークの上限は月間5日)

ユニークなリモートワーカーのメリット

ワークライフバランスや通勤ラッシュからの解放とは少し毛色の異なるリモートワーカーのメリットをご紹介しましょう。
「リモートワーカーになってから、すっぴんで会議に出られるようになった」
ある女性社員の声です。
その声の主は、資生堂の女性社員。
女性社員の割合が高い資生堂では、リモートワーク(在宅勤務制度)を2016年からは、美容部員を除く国内の社員全員まで拡大しました。その際、アプリ「TeleBeauty(テレビューティー)」も開発し、オンライン会議ではメイクする必要がないのです。
この「TeleBeauty」というアプリは、オンライン会議用に、顔を映すだけで画面上の顔にメークを施したり、顔色の補正や顔以外の部分をぼかしたりする機能が含まれています。
リモートワーカーとなった女性社員は「スッピン」でも会議に出席出来る、資生堂らしい発想のアプリです。

リモートワーカーになって悪かったこと(デメリット)

リモートワーカーは新しい働き方を提示してくれました。
一方で、予想もしていなかったデメリットも生まれています。

コミュニケーションの低下

リモートワークでは、FaceToFaceでのコミュニケーションが希薄になります。
もちろん、リモートワークではSkypeやChatWorkといったコミュニケーションツールの導入は欠かせません。そうしたツールを導入してもなお、一対一の人のコミュニケーションは不可欠なようです。
特に、人事評価のようなシーンでは画面ごしのオンライン会議では不安が残ります。また、言語に限らず、非言語のコミュニケーション(表情、挨拶、会釈etc)の量が減ることによる生産性の低下を危惧する声もあります。

長時間労働が増える

リモートワーカーは、時間ではなく成果で仕事を評価されます。そのため、早く成果をあげようと頑張り過ぎる人も多いようで、働き過ぎにつながる例もあります。
ある出版社でリモートワーカーとして働く編集部員は、「定時退社がないので仕事の止め時がわからなくなり、つい長時間働いてしまう」とも言っています。

長時間労働は、リモートワーカーだけでなく制度としてリモートワーク(在宅勤務)を導入した企業にも労務管理が難しくなった、というデメリットを生みました。
仕事の成果を数値化しないと客観的な評価が出来ないため、リモートワークに向かない企業の業務もあります。

企業の求心力低下

コミュニケーション低下に伴うデメリットです。
自分が所属する企業のオフィスに通う必要のないリモートワークでは、「出社する必要」が原則としてありません。その結果、働く場所を選ばないリモートワーカーたちは転職志向が強くなりがちで、企業への忠誠心や愛社精神といった古い考え方を持っていません。
求心力の低下した企業は、従業員にとって「魅力の少ない会社」と見られてしまい、先進的なリモートワーク制度を導入したにもかかわらず、優秀な人材が社外に流出する、という皮肉な結果をもたらすのです。

リモートワーカーたちの課題

リモートワーカーたちのメリット・デメリットをご紹介しました。
リモートワークを先進的な試みで終わらせないために、実践するにあたりいくつかの課題を整理しました。

労働基準法など法整備

「働き方改革」でリモートワークを推奨しておきながら未だ法整備が追い付いていません。
長時間労働をどう防ぐか?労災や経費をどこまで認めるか?といった規定は、現状の労働基準法にありません。こうした法律の改正は行政機関が主体となって、民間も巻き込んだ議論が必要です。

社内ルール作り

リモートワークを導入するにあたり、どの業務まで制度を適用するか、評価はどうするかといった企業ごとのルール作りも必要です。
資生堂、日産自動車といった導入事例を参考に、企業の業態や規模に応じたルールの策定が必須です。

機密管理

ICTの産物であるリモートワークですが、企業には情報漏えいのリスクももたらしました。
テクノロジーが発達しても機密管理や情報漏えいは、人間が最後の砦になります。
罰則規定を厳しくしても犯罪が根絶しないように、情報漏えいはゼロにはならないでしょう。
性善説だけでは解決しない、新しくて古い課題がリモートワーカーたちの悩みです。

成果主義への転換

最近、報道にあがる「脱時間給」の流れを助長するのが、リモートワークの側面でもあります。
労働時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」の制度化を盛り込んだ労働基準法改正案は、「長時間労働の原因となる」と批判されています。
未だその議論は国会でも合意形成されておらず、見送られたままです。
リモートワークでは、時間で業務を評価しないため、成果主義の導入・転換が必要です。
成果主義への転換がないと、リモートワークの普及・浸透は難しく、ここでもルール、法整備が急がれます。

今回は、リモートワーカーたちにスポットを当て、リモートワークの実態と課題をご紹介しました。
リモートワークの普及には、様々な課題の克服が必要なようです。

ピックアップ記事

関連記事一覧

ABOUT

海外でのリモートワークを夢見るアラサー男子です。今は本業やりつつ、リモートワークで本業を活かした副業をしながら経験を積んでいます!

Twitter でフォロー